７９ Side Sho ページ38
・
6月23日(日)第3回阪神競馬8日目 11R 宝塚記念(G1、3歳以上オープン、芝2200メートル)
散々考えて逡巡したが答えは見えてきた。
でも今はアカシに集中する。
午前中に阪神に着き、まずはアカシを見に行った。
「どう？」
馬房のアカシを観察する。
輸送は慣れたもので上品に水を飲んでいた。
朝も用意されたものをしっかり食べたらしい。
「アカシは偉いよな」
「ん？」
「出された物はちゃんと食べてしっかりこなしてさ。一瞬グレたこともあったけど俺たちに従ってくれてる。ありがたいよね」
「そうだね」
もちろん手のかからないアカシにさせた雅紀の腕あってこそだけど。
アカシが顔を上げた。目が合ったので顔を撫でる。
俺は大丈夫らしい。
「何で潤は駄目なんだろう」
「翔ちゃんはオーナー様だからじゃない？」
「じゃあトレーナーにも優しくしてやれよ。あいつもお前のために頑張ってるんだから」
俺に撫でられるアカシの目は輝いていて大丈夫だと思った。
パドックでも丁寧に観察する。
雅紀に曳かれたアカシは今日もオーラを出して丁度良いぐらいの気合い乗りで歩いてる。
世界へ行くためにもここはモノにしてくれと願う。
「どうよアカシ」
振り向けばカズと潤。
二人を見れば安心する。
「ここまで何もなく来られて良かった」
「そうだな」
「任せてよ」
そう言うカズの目は真っ直ぐとアカシを見ていて澄んでいる。
一緒だ、アカシと。
「いつも任せてるよ、カズは。グッドレースを」
「翔ちゃんのそれ待ってた」
ニッと笑ってカズはアカシへ向かっていく。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユタカ | 作成日時：2020年1月22日 9時
