To the World２【ars】 (ページ32)

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７３　Side Sho ページ32

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「君のために櫻井RHを作ったときだったかな。君が余所で生まれた子で奥さんにはあまり関心を向けられてないから自分が競馬の道を作った。なぜなら実の母親が競馬関係だからと言われた」

武岡さんの口から色々なことが分かっていく。
さすがに消息は分からへんでと笑った。

「君が本当に競馬が好きなのは分かる。だけど君が本意でない部分があると思う。そこにこれまた櫻井くんと境遇が似た樋口くんに君に会わせてほしいと言われた。そこからは前にも言った感じかな」

スルスルと絡まった糸が解かれていく感覚がした。

「一石を投じてしまった俺が言うのもなんやけど思考はシンプルで良い。君には離れない仲間がいるし馬がいる。まあ決めるのは櫻井くんやで？」

「……はい」

武岡さんの笑みに俺も思わず笑う。

そうシンプルに考えればいい。
今の俺にとって最良なことは何か。
その一点を追求すればいい。

「武岡さんはどう思います？あの計画」

「うーん。壮大やね。ああいう気概のある人がいるのは良いよね」

「ですよね」

大概の人は言うだろう。
計画は、心意気は素晴らしいと。

「俺は一騎手やからどうも出来ひんけど……。櫻井くんは頭が良いし、うん」

「いえいえ」

それからはコーヒー片手に武岡さんの時間が許す限り競馬談義をした。アカシにおいては手強い敵だが、それ以外では頼もしいレジェンドだ。

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