To the World２【ars】 (ページ21)

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何が展開を握るか。馬の脚質、ジョッキーの性質から何パターンか考えられたがなんと好スタートを切ったゴッドオブウインがハナに立つ。

前回2番手から先行抜け出しの競馬で大阪杯を勝ったから明確な逃げ馬がいない今回逃げることも考えられなくはなかった。武岡さんの脳内が知りたい。

1度目の3コーナー。京都の長距離戦の肝は2度の坂越えである。

アカシは中団の前よりにつけることが出来た。折り合いは気にしなくていい。

蘇るのは大阪杯。グリーンライトに乗って突き放された感覚は忘れられない。

しかし焦りは禁物。幸い横にはオペラテラスがいる。現役屈指のステイヤーであるこの馬と同じ位置なら慌てず狙えるはず。イエローマインは5番手の外めにいた。田渕は田渕なりの方法論だろう。

4コーナーを過ぎ1周目の直線。アカシは少しハミを噛んだ。こないだの菊花賞を覚えているのだろう。しかしゴール板を過ぎたら治まる。

馬群は1コーナーを目指す。スタートしての1000メートルが恐らく60秒から61秒の間。武岡さんが遅めのペースを作り出す。これ以上遅かったら捲ることも考えるのだろうが残りを考えるとそうもいかない。他馬に邪魔させないようにする絶妙なペースだと言える。

2コーナーから向正面。俺が考えるのはこれからどこでどう仕掛けることだ。アカシの持ち味の一つはロングスパートできる脚。淀の長丁場でそれをどう生かすか。幸い外枠だしどうとでも出来る。

ゴッドオブウインは軽快にペースを刻んでいる。イエローマインは虎視眈々と狙っている。横のオペラテラスは泰然自若だ。アカシだって。

3コーナーが見えた。坂を上って下っていく。3,4コーナー中間、俺はゴーサインを入れる。標的はゴッドオブウイン。俺の動きを見て福沢さんも上がっていく。

オペラテラスと一緒に上がっていって4コーナー。ゴッドオブウインのケツが見える。直線を迎える。

鞭をくれて追う。手応えがあるはずなのにグッと伸びてこない。力強さが鳴りを潜めていく。

武岡さんはリズミカルに鞭を一発二発。ゴッドオブウインにこんなスタミナがあるのか。捕らえるどころか突き放されていく。

特別バテているわけではない。だけどアカシは伸びてくれない。むしろオペラテラスからも離されていく。イエローマインにも忍び寄られる。

アカシは4番手で入線する。ゴッドオブウインがG1連勝を飾る。

武岡さんがガッツポーズする姿を俺はアカシの背から真っ直ぐ見た。

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