４２ Side Sho ページ1
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休日が明けた水曜日。
代表室から見える桜の木はピンク色になってきている。
「失礼します」
さつきちゃんが厚みのある封筒を持って入ってきた。
「日経賞のお写真が送られてきました」
「ありがとう」
新聞社から日経賞の写真が届いたので包みを開ける。かっこいいアカシが写されていた。
さすがにオフィスには飾れないので家に持ち帰る。
アカシが4歳最初のレースを制した。
同期のイエローマインに快勝できたことは一つの指標になると思う。
大目標を秋の凱旋門賞に置いた。皆で世界を勝ちたい。馬を持ち始めたときからの夢だった。
夢や目標が少しずつ現実のものになっていくと感じる。
昼が過ぎて各調教師との業務連絡をしているときにそれは来た。
「代表、会長がお見えになってます」
「……分かった。通して」
溜め息混じりにさつきちゃんに伝える。そうして親父がやって来た。
さつきちゃんがお茶を淹れてくれて二人きりとなる。
親父は壁に飾ってある金鯱賞のハングアップオンの写真を見た。
「今週だな。大阪杯」
「はい。そうですね」
今週行われるG1大阪杯。
櫻井RHからはハングアップオン、グリーンライト、ワンスアゲインを出走させる。鞍上はそれぞれ池山、カズ、川崎だ。
「当日行かれますか？」
「そのつもりだ」
「分かりました」
俺はお茶をすする。
さつきちゃんの入れるお茶は美味しい。
「ところでアカシ強かったな」
「……はい」
何だろう嫌な予感がする。
「凱旋門とは大きく出たな」
「実現可能ならば夢は大きい方が良いでしょ。アカシはそれに応えることができる器です」
「俺は惜しいことをしたよ。この馬をRHの馬にしてれば。翔の相馬眼は凄いね」
「……本題は何ですか？」
「まあそう急ぐな」
親父は俺を手で制して。
「遠征には費用がかかるだろう。RHでは出来ないから俺も出そう。俺個人所有にしようとは言わないから」
「金はありがたいですが手は出さないで下さいね」
「それはどうかな」
親父は経営者の目をした。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2020年1月22日 9時
