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「先生、飲みませんか？」
「いいよ」
ということで先生を連れてきたのは行きつけのバー。
潤くんのいとこさんがやっている完全個室の店だけど、わりとフランクに飲める場所だ。
「おうAちゃんいらっしゃい」
「マスターこんばんは。空いてる？」
「空いてるよ。そちらは彼氏さん？」
「違いますよ、高校時代にお世話になった先生です」
潤くんにあまり似ていないアフロ頭のマスターと話しながら部屋に入る。
先生と向かい合って座る。
昔みたいだと思った。
「先生何飲みますか」
「お前に任せるよ」
「じゃあビールにします」
マスターを呼んでビールを注文し、すぐに来た。
「本当に久しぶり」
「お久しぶりです」
杯を交わす。
「……びっくりしたよ。いきなり背後から声かけられて」
「車の中で先生発見しちゃって、居ても立ってもいられなくて」
「仕事終わりだったんだろ？」
「雅紀くん置いていきました」
「おいおい」
久々に会ったのにこのテンポ感。
心地良かった。
「ドラマ見てるよ」
「ありがとうございます」
「というか今までの全部見てた」
「……ありがとうございます」
先生が見てくれた。
それだけで頑張ってきたことの意味がある。
「先生は今も月ヶ丘で？」
「ああ、教師をやってるよ」
「お変わりありませんね」
「そうか？俺もう３１だよ」
私はここで初めて空白の年月を感じた。
そうだ、私は今年23歳になるのだから8歳上の先生は31歳だ。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2018年10月17日 9時
