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「付き合ってないの？付き合ってないのに一緒にいたの？」
彩華の質問は至極真っ当なものだった。
私もそう思った。
「あれ？ニノ、女はいいって言ってなかったっけ？」
言ってた、言ってた。
「女が寄ってくんだよ。俺がうんざりだと思っても。だから相手してやってんの。村山はその一人」
その一人って……。
「というか、和也来たなら来たって教えてよ。チャイム鳴ってなかったよ」
「俺だったらチャイムなしでもこの家は顔パスだからいいんだよ。……おばさん玄関に薔薇飾ってたけど、翔ちゃん？」
「うん」
「翔ちゃんらしいね。あんだけ沢山の薔薇。しかも赤」
夏音に向ける目は優しい。
しかし。
「……何」
私は和也を見てたらしく不機嫌そうな顔を一瞬見せられる。
「……何でも」
「そっ」
いつもの波のない表情に戻る。
そんな顔しなくていいんじゃない？
私は和也に群がるような女とは違うのに。
どうしたのだろうか。
何となく和也の纏っている雰囲気が前とは違う気がする。
和也は昔からモテていた。
犬のように女の母性をくすぐり、懐に入るのが上手かった。
でも誰とも付き合うことはなかった。
それは夏音のことが好きだから。
大学に入ってから「カノジョ」を作り出した。
それはきっと夏音を振り払うため。
でも長くは続かなかった。
その「カノジョ」がいた間はその雰囲気はなかった。
何だろうか。
その雰囲気？色気ってやつなのか？
よく分からない。
それを作り出してるのは遊んでるから？
何だろう……軽蔑を覚える。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2017年9月13日 11時
