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「ねえ番田さん」
帰る道すがら声をかけられる。
「何、高橋くん」
この人は高橋くん。同じ高校出身で、美術部だった。
今は別の学科だけれども、こうして声をかけられる。
「この後飯行かない？」
「ごめん。今日は先約があるから」
「そっか」
「じゃあ、私急ぐから」
私はそこを振り払うように少し早歩きした。
先約があるのは本当だ。
だって今日は夏音の誕生日。
夏音も２０歳だ。
彼女と出会ったのは中１のとき。
もう７年の付き合いか。
自分の誕生日でもあんまり嬉しくなさそうだったあの子が、今では多くの幸せを得ている。
軽い足取りであっという間に地元駅に着き、一日家に帰って夏音へのプレゼントを持って、彼女の家へ向かう。
「Aー」
その途中、後ろから可愛い声がした。
振り向くと夏音だった。
手には赤い薔薇だ。
「櫻井先生から？」
「うん……」
夏音は頬を赤らめる。
可愛い。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2017年9月13日 11時
