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５５ Side Kazunari ページ30
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俺は一体何をしてるんだっつーの。
Aに突き飛ばされて我に返る。
そしてAの涙を見て、胸が軋んだ。
いくら悪魔に魂を売ったって、Aにそんなことしていいはずがない。
あいつはずっと大野さんが好きで、三人の中じゃ多分一番純真で、男の経験は皆無だった。
ついさっき男で嫌な思いをしたのに、それ以上の事をしてしまった俺。マジ最低。
何で俺はああいう行動をしてしまったんだ？
自分で自分が分からない。
＊
「二宮くん……」
狭い部屋に響く甘い吐息。
結衣とは今もこうした関係が続いている。
前までこうしてるときに脳裏に浮かぶのはあいつだったのに、今はなぜかAの泣き顔だ。
それを打ち消すように俺は結衣を揺らす。
どこまでも、俺は、最低だ……。
その帰り道。
それでも離れないAの泣き顔。
あいつ泣いたことあったっけ……？
もちろん敦司が死んだときとか卒業式とか皆が泣いてるときにAも泣いていた。
でもあいつ単体で泣く姿は……見たことがなかった。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2017年9月13日 11時
