Gypsophila２【K.N】 (ページ26)

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コンコンとドアをノックする音。

「A」

母だった。
もうご飯かと思い、起き上がる。

「夏音ちゃんと彩華ちゃんが来てるわよ」

「…………」

おそらく母が心配して、二人に連絡したのだろう。

よりにもよってその二人。

夏音はご両親と敦司を亡くして、自分は疫病神だと思い、恋をしていなかった。
それでも櫻井先生と恋をし、今では超のつくほどのラブラブっぷりだ。

彩華は松本先生との恋に破れたが、優しい雅紀は彼女のことがずっと好きで、やっとこさ付き合うようになって、非常に微笑ましいカップルになっている。

二人自体は何も悪くない。
ただの私の自己嫌悪。

でも恋を成就した二人が羨ましく、私のような経験がないことも羨ましかった。

「A！答えなさい」

今二人に会いたくなかった。

「おばさん、ここは私達が」

彩華の声だ。

「そう？悪いわね。お願いするわ」

「お任せ下さい」

これは夏音だ。

「A起きてるんでしょ。話したいことがあるから開けて」

私はドアまで歩いて、ドアに背中を預けながら座る。

「私は……二人の話を聞きたくない」

誰も私の気持ちなんか分かるわけがない。

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