Gypsophila２【K.N】 (ページ25)

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あれから何日経ったのだろうか。

もう時間の感覚が分からなくなっていた。

ずっとアトリエの天井を見ていた。

最低限の生活のためにしかアトリエから一歩も出ていない。

両親はこんな私を心配してくれるが、好きでもない男たちから唇を奪われたなんて言えるわけがない。

顔を横に向けて立てかけてある絵を見る。

最近描き上げた薔薇の絵だ。
櫻井先生が夏音に贈ったのを見て、描きたくなった。
様々な赤を出すのが楽しかった。

少し視線を動かす。
今描いてる途中のものだ。

赤い花を描いたから次は白い花だと思い、植物図鑑を見てピンと来たカスミソウを描こうとしている。
点描のように描きたいと思っている。

思っているけれども描こうという気が起きない。

ずっとアトリエの床に大の字になって寝て過ごしてる。

スマホも放置していたら電池がなくなってしまった。
充電器は自分の部屋だ。
でも動く気力がない。

油絵の匂いが染みついたアトリエで何も考えずに過ごす。
他人がどう思おうが、私は幸せだ。

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