Gypsophila２【K.N】 (ページ24)

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「どうしても……黒木くんと君を重ね合わせてしまうんだよ」

切なそうな表情。
でも三吉先生の瞳に私は映っていない。

「君は黒木くんの旦那が好きなんだろ？で、俺は黒木くんを想ってる。利害は一致する……」

三吉先生の顔が近付く。
避けようとするも顎を固定されて、唇が塞がれる。

―――お前、男の力甘く見てるだろ。

腹立つけれども、その通りだった。
生まれてこの方１９年、そういった経験がなくて、見くびっていた。

確かに私は大野先生が好きだ。
でも三吉先生に恋愛感情はない。
だから利害は一致しない。
ここで生まれるものは何もない。

私は何とか足を動かして弁慶の泣き所を蹴る。

痛さに三吉先生が離れたので、私は立ち上がる。

「私は……千佳さんの代替品じゃない！」

私はそう叫んで研究室を出た。

正直どう帰ったか記憶にない。

気づいたらアトリエの床に倒れ込んでいた。

―――じゃあ、３年間よろしくね、A。

「先生……」

夏音の代わり、千佳さんの代わり。

誰も私を見ていない。
見てたとしても自分本位で私のことを考えてくれない。

誰も信じられない。

ならば先生への叶わない想いにすがってしまおう。
信じられるのは……大野先生のみだ。

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