Gypsophila２【K.N】 (ページ23)

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「じゃあさ、棚にある書類整理してくれない？学期末で忙しくてさ。礼は弾むからさ」

「……分かりました」

礼は別にいらないけれども。

私はボックスを手前に引く。
中には本やら紙やらがギッシリだった。

三吉先生に聞きながら整理していく。

三吉先生は絵筆を走らせていた。
女性の後ろ姿が描かれている。

「どうするんですか、その絵」

「あー、秋に全国の美大が集まっての展覧会があるからだろ。そこに出せって言われてさ。番田にも声がかかってるぞ」

「……頑張ります」

期待していただいてるのは有難い。

棚の下の方から書類を片付けていき、上段に手をかけたときだった。

結構な紙の束が指を滑り、床へと落ちていく。

紙と写真たちが舞う。

「すみません……」

それらを拾おうとしゃがみ、まずは写真を集める。

「あっ……」

写真を集めてみて分かった。
千佳さんと……私の写真ばかりだ。
集合写真やどこで撮ったのか分からないものもあった。

視線を感じ、見上げると、三吉先生の瞳にゾッとした。
既視感があった。

そして次の瞬間、紙の感触を背中で感じ、目の前には三吉先生と天井が広がっていた。

私はなんて馬鹿なんだろうと思った。

分かってたくせに。
男の人はそういう生き物だって学んだくせに。

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