Gypsophila２【K.N】 (ページ16)

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８月の頭。

前期が終わった。

「番田さん、お疲れ」

校門までの道で高橋くんに声をかけられた。

「お疲れ様」

「あのさー、今日美術部の面子で飯食べようってなってるんだけど、番田さんもどう？大久保や澤村もいるけど」

大久保さん、澤村さんは同じ美術部の女子だ。

「じゃあ、行こうかな」

この後特に予定がなかったので、そう答えた。
深く考えていなかった。

高橋くんに連れられてやって来たのは少しオシャレな洋食屋。
そこには確かに美術部のメンバーがいた。

特別仲が良いというわけではないけど、皆絵を愛する人たちだから話は弾む。
昔話や近況報告をし合って、会はお開きとなった。

「番田さん、送るよ」

高橋くんにこう言われる。
高橋くんはずっと私の席の隣にいた。

「えっ、いいよ」

「送らせて。もう夜だし、親御さん心配するんじゃないの？俺が誘っちゃったんだし」

「じゃあ……お言葉に甘えて」

なんだか圧が凄かったから了承してしまった。

今まで何度かこんな風にご飯を食べてもそんなことなかったのに。

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