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２−２に入って、先生は机を正対させて、座って向かいの席を指差す。
「座って」
言う事に従って、彼と向かい合う形で座る。
「俺も一緒」
「え？」
「俺も職員室でプリント作ってたら煮詰まっちゃってさ。気分転換に自分の教室に来て。隣の教室に人の気配を感じて覗いたら、Aさんがいたってわけ」
「そうだったんですね……それで私は何を……」
「はい。Aさんにはこのプリントの束をホチキスで止めて、半分に折って欲しいんだよね」
確かに先生の机の上にはプリントがうず高く積まれている。
「これを、ですか」
「そう。……あっこれ、今度の授業で使うんだけどね。俺の担当する４クラス分。お願いできる？」
「分かりました」
「あっ、このことは内緒ね。多分生徒が手伝うのはあんまり良くないことだと思うから」
赤い唇の前に人差し指を立てて、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、先生は言った。
先生のそのような顔は初めて見た。
息が詰まりそうになるからやめてほしい。
「先生は何をするんです？」
ノートパソコンを開いた彼に言った。
「あー期末の範囲になる授業のプリント作ってる」
「はい……頑張ります」
「Aさんは大丈夫だよ」
「それは……先生の授業が分かりやすいからですよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
また先生は微笑む。
先生は本当に微笑みが似合う。
そこで会話が終わり、作業を始める。
私はひたすらプリントを縦横揃えて、ホチキスで止めて半分に折る。
先生はキーボードを打つ。
私は先生の顔をチラッと見て、天は二物を与えずという言葉は僻みっぽい人が作ったものだなと思った。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2016年12月16日 11時
