サクラ・サクラ【Ｓ.Ｓ】 (ページ12)

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「終わったー」

私は全てのプリントのホチキス止めを終えて、伸びをした。

「お疲れ様」

「待たせちゃってすみません」

先生は私より先に作業をし終わっていた。

「いいのいいの。……じゃあ家まで送るよ」

「そんな……いいですよ。一人で帰れます」

「遠慮しないで。俺が引き止めちゃったんだからお礼させて」

先生は片目をつぶって笑う。

また見た事のない表情。
だから……そんな顔をされたら断るものも断れない。

「じゃあ……お願いします」

「それじゃあ裏の駐車場に来て」

先生、通勤は車なんだ。

「はい」

それから二人で２－２の教室を出て、私は一旦２－３の教室に入り、鞄を取りに行く。
先生は入口で待っていた。
私は昇降口、先生は職員室にそれぞれ向かう。
方向が同じなため並んで歩く。

その途中、１年の教室がある。
その一室から二人の人間の声がした。
それだけだったら通り過ぎたかもしれない。
しかしその声の主は知っている二人だったために、私は立ち止まった。
先生も立ち止まる。

「彩華と……松本先生……？」

「だよね……」

先生は怪訝そうな顔をする。
そしてどうする？といったようなアイコンタクトをした。
私は行きますと視線を送った。

ドアの窪みに手をかけ、思いっきりドアを引いた。

中の二人は一様にこちらを見た。