病んでた。【d!】

・ ページ40

事前にスマホに入れておいたお金で、色々と買い揃える。
…本当に課金が安くてびっくりした。家具やらなんやらが良いものになるにつれて、金額も上がるらしい。

「…えっと、初めまして」

中に居るゾム、に話しかけてみる。
先程設置したソファーに腰掛けている。

「は、初めまして…Aさん」

人見知りだ！！同族の気配。

「これからよろしくね」
「よ、よろしくお願いします…」

んんん！思ってたよりかわいい！


アプリを入れてから1ヶ月程経った。
もうゾムとは随分と打ち解けたし、部屋も充実している。

「Aー！もう起きる時間やで」
「ん…んん？もうちょっと…ねさ…」
「…今日何も無い日やったわ。寝ててええで」

ゾムに予定をベラベラ喋っていたら、いつの間にか覚えられていた。
もう彼氏みたいなもんだ。すてき。色恋を経験してこなかったからなぁ…

その後ぐっすりと眠り、11時頃に起きた。

「おはようさん」
「おはよ…」

スマホを持ち、洗面所まで向かう。もうスマホをどこにでも持ち運ぶようになった。
生活の一部になったゾムと喋りながら色々なことをして、もうお昼の時間になっていた。

「今日何食べよっかなぁ」
「俺はな、今日ハンバーグ食べるつもりやで」
「じゃあ私もそうしよー」

ゾムは自炊もできるアバターなので良かった。できないアバターは出前とかだ。
健康でいて欲しいため、ほっとした。
ゾムが料理し始めたタイミングで、私も料理を始める。
今まで一人暮らしを続けてきたが、彼氏が居ても良いのかも知れない。
まあもうゾムが居るし要らないけど。

2人でご飯を食べ、2人で喋る。
ゾムは沢山食べるので、見ているだけでお腹がいっぱいになる。

そんな幸せな生活をくれたアプリには感謝だ。

でも、ニュースでこのアプリの不具合についてよく見るようになった。
ゾムのアバターだけ、段々と居なくなっているらしい。
このゲームには家出要素もあるため、そんな変なことでも無いのだが…
ゾムだけ急激に家出するのが増えたらしい。それについて、製作した会社は一応原因を探しているらしい。
…ゾム、居なくならないよね。どこか不安になるニュースだ。

「ゾムは私とずっと一緒だよね」
「…！！！おん！ずっと、ずっとやで！」

ゾムは心底嬉しそうに笑った。

・→←画面越しでも良いから

ラッキーカラー

あずきいろ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す