病んでた。【d!】

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ドアが開く。Aの恋人とやらが来たのだろう。

「お邪魔するで〜」
「どうぞ〜。
荷物まとめてあるから、すぐに出れるよ」
「ん、おっけ。その…ゾム？はどこにおるん？」
「ちょっと待っててね。呼んでくるから」

Aが俺の部屋の方へ駆けていく。
もうそんなこんまい部屋には居らへんよ。

「…あれ？ゾムー？」

こっちやで。はよ来んかな。驚かせたいんに。

「…？居ないのかな…」

……何ですぐにあいつのとこに帰ってん？もっと探せや。俺を求めろや。

キッチンの影から出て、Aの腕を掴む。

「…え？」
「ゾム、ゾムやでA。俺、A守る為に人間になってん」
「嘘…ほんとに、ゾムなの？」

唖然としているA。そんなにびっくりしたん？

「なになに？どしたん？」

Aの恋人が俺とAを見る。

「…？A、ゾムって、小人やって聞いてんけど…」
「うん。小人、なんだけど…人間になったらしくて」
「なんだそりゃ。小人から人間になった？あほらし。ただの不審者やんそれ」
「でもね、ゾムが着てた緑のパーカー着てるし…」
「そやぞ。俺は間違いなく元小人のゾムや」

そう。Aをお前みたいな奴から守る為にな。

「はえぇ…どうも。Aの恋人のロボロですぅ」
「ゾムです。Aの恋人言うからデカイんかと思っとったんやけど…身長縮んだんとちゃいまっか？」
「ああん！？！？」
「ちょちょ、怒らないでロボロ…ゾムも煽らない！」

チビなロボロやなぁ。ホビットって呼んだろ。
まあ、すぐにお別れするんやけど。

ポケットに隠していたサバイバルナイフ。
それを手に取る。練習はそのへんの動物で済ませた。

「そんなんでよくAに近付く気になったなぁ」
「ゾム？」

サバイバルナイフでロボロの首を切り裂き、心臓の辺りを一突きした。
血が止めどなく溢れる。

ロボロが喋ることは無かった。

「……え？」

Aはどんどんと顔を青ざめていく。そりゃそうやろなぁ。だって今まで一緒に暮らしてきた俺がAの恋人を殺したんだから。

「…ロボ、ロ？…嘘、でしょ」
「嘘やないことくらい分かるやろ。
血管切ったし心臓も止めたんやから」
「…ろぼろ。ろぼろ…」

壊れた人形のように血濡れた其奴を揺さぶる。
Aが其奴の血で汚れるのも耐えられへん。Aを死体から引き剥がし、轟々と燃えている炎に死体を入れた。

「そんな死体にかまっとらんでさ。俺にかまってぇや、まじで」

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