山裾追憶録～Lost Memories～ (ページ24)

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Answer-2 ページ24

20話～能力～

「......ってことがあったんだよ」
「色々あったんですね......というか、そんなところまで覚えてられるのもすごいです」
「こういうのは妙に得意なんだよ。
まぁそれはいいとして、この中で聞きたいことは2つなんだ」

蕗は右手の人差し指と中指を上げた。

「一つは"光ってたあいつの眼"。
あんなの普通の人間じゃ絶対に出来ないはずだ。
......そう思ってたが、望は"幽霊"だった。
幽霊だったら、目を光らせたり出来るもんなのか？」
「目が光る......ですか。
その時の望さんの目の色、覚えてますか？」
「目の色......か。
うーん、確か"茶色"だったような気がする」

上葉はそう聞くと何かを確信したように一回無言でうなずいた。
それを見て蕗が首をかしげると、上葉はゆっくりと喋りだした。

「"能力"......ですね。
望さんは、能力を持って生まれた存在......"罪人"だったんです」
「能力......罪人......？
そんなものがマジであるっていうのか......？」
「ありますよ。私もその一人ですし......」
「！？」

そう言った直後、上葉の眼は"薄い緑色"に変化した。
明かりがついているので分かり辛いが、眼の周りにほのかに見える光......

間違いなく、あの日見たものと同じだった。

「そういうことです。
あの人は、普通に生きる上では絶対に持ち得ない"力"を持っていたんです」
「持ち得ない力か......例えばどんなものがあるんだ？」
「そうですね......私は"天候変化"の力を持っています。
他にも"百花繚乱"など、色々な能力があると聞きます。
中には特に強いものもあったりすると聞きますが......実際に見たことはないです」

ごく普通といった感覚で次々にとんでもない言葉が飛び出してくる。
俺の知ってる世界は想像していたものよりずっと狭かったらしい。

「じゃ、あいつの能力は......？
濁流を発生させたりとか、そんな感じか？」
「それは......考えにくいと思います。
話を聞くと、望さんは大分悲しそうな表情をしてたんですよね。
それに、望さんも同じ濁流で流されて死んでしまったんですから......」

同じ濁流......そういえばそうか。
いや、待て。その事件以降、ずっと同じ日に、同じ時間に、同じ濁流が発生している......？

「上葉！」
「は、はいっ！？」

しまった。
急に大声を出したから驚かせてしまった。

「その能力って、死んでから付くこともあるのか！？」
「え、えーと......
あ、あります！書物を見る限り......！」

蕗は確信した。