山裾追憶録～Lost Memories～ (ページ19)

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Evidence-3 ページ19

15話～甘えは捨てよ～

その日は結局それ以上の進展はなかった。
下山する際も特に不審なことはなく、ひたすら行きと同じ道を辿っただけ。
濁流に襲われることもなければ、雨に降られることもなかった。

無事に下山できたことを喜べばいいのか、何一つ手掛かりがなかったことを嘆けばいいのか。
あまりにも中途半端だ。どうにも煮え切らない。

...もちろん、消えた望の行方も分からない。
周囲には気を使っていたが、どこを探しても人らしいものは見つからなかった。

また、振り出しからである。

～夜蕗の自宅～

「(参ったなぁ...)」

その日蕗は結局眠れずにいた。
頭と枕の間に手を挟んで呆然としながらただ上を眺めている。

どうにも不可解すぎる。ここ2日同じ疑問ばかりが頭の中を巡っている。
何もかもが奇妙な故に何が気になるか言葉にできない。

このまま調べてもいっこうに何も進展しないだろう。
頭の中がこんなにぐちゃぐちゃじゃ何も進まないだろうし、数日間様子を見ようか。

うん、それがいいな。
それにこのままだと足が折れる。

脳内会議終了。おやすみ。
蕗は机の上に鍵を投げて眠りについた。

～2日後～

あの事件の日から3日が経過した。
いよいよ学校側も望の捜索を開始したが、現段階で見つかったという連絡はない。

あの新聞の切れ端に書いてあったように、今日で行方不明者捜索は3日目に突入する。
これで見つからなかったらこの呪い始まって初めて死者が出たことになる。

さすがにこれだけ時間があれば濁流に流された人間の1人くらい見つかるだろうと思っていたが、
どうやらそれは甘えだったらしい。

「もう1回行くか。
これで見つからなかったら...諦めよう」

これで謎を掴めたら俺の勝ち。
掴めなかったら俺が関わっていい事案じゃなかったってことだ。

...いいさ、何が何でもケリをつけてやる。
勝手に決めた謎の賭けまがいの何かのおかげで蕗の何かに火がついた。