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★愛々傘しませんか? ページ9

また雨だ



『いいことないなぁ、最近』


ため息と一緒にそんな言葉が口からついて出た
今日の会議は長引いたし仕方ないっちゃ仕方ないけど、また雨とは



ま、いいや。傘さして帰ればいいし。

手帳やら資料やらが散乱した鞄の中に手を突っ込み
手探りで折り畳み傘を探すがなかなか手に当たらない



やっとのことで傘を出し
さぁ帰ろう、とビルの玄関から出ようとすると


『………あ』





雨宿りをしているのか
一人の男性が空をぼーっと見上げていた

傘、ないのかなぁ。






帰ろうとしたけどどうしてもその人が気になって
気づいたら駆け寄っていた





『雨宿りですか?』


男性は一瞬目を丸くしたけど、ふっと微笑んで

祥「傘…なくて」


楽しそうなトーンで言うから、好きで雨宿りしてるのかなぁって思ってしまった




祥「雨ってなんかいいですよね」

『そうですか?』

祥「やっぱり晴れの方が好きですか」

『私は…曇りが一番落ち着きます』

祥「そうなんだ なんか意外です」



なんか意外、ってどういう意味なんだろう。






祥「だって…太陽みたいだから」


なんで?と聞いていないのに、彼は理由を言った

祥「笑顔、眩しくて素敵ですよ」

『あ、ありがとうございます…///』



顔が熱くなって、思わず下を向いてしまった


雨音だけが心地よく響く






祥「…俺、戸塚って言います」


私の顔を覗きながら戸塚さんはにっこりした
そこで自分も名乗らなければいけないと気づき、慌てて



『あ、Aですっ』


と言ったけど、名字ではなく名前で名乗ったことに今気づいた

しまった、これじゃ下の名前で呼んでって言ってるようなもんじゃん。
恥ずかし…





祥「Aさん… 素敵な名前ですね」


そんなの今まで社交辞令で何回も言われてきたのに
何故か本気で捉えてしまう



『…あ 傘、ないんですよね』

素直に頷く彼


『よかったらこの傘』

祥「いや、大丈夫ですよ」

『私、家すぐそこなんで走れば』

祥「だめです! …濡れちゃう、ので」




掴まれた腕に鼓動が大きく跳ねた



祥「風邪引かれても俺が困るし
…まぁ、引いたら看病はさせて頂きますけど」

『へ… それは、どういう……』








祥「愛々傘、しませんか?」







.



fin.

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にゃんこけし(プロフ) - みきさん、ありがとうございます! キュンキュンしていただけてほんとに嬉しいです♪ 続編はまた色んな話が落ち着いたら書かせていただきます~(^∀^) (2017年12月12日 7時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 戸塚くん、ドキドキです。告白してからの続編も書いていただけると嬉しいです。これからも期待してます。 (2017年12月12日 1時) (レス) id: b4e2f9f02b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にゃんこけし | 作成日時:2017年12月11日 23時

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