黒木の幼馴染！【探偵チームｋｚ事件ノート】

幼馴染が三十七人 ページ39

美門side


片山の最後の挑発的なセリフが頭の中を木霊する。


この間までアーヤのこと好きだったはずだし、俺の方が先に紗月に近づいたのに。


この事件だってここまで長引いた大事になるなんて思ってなかった。


調査って名目だったら堂々と紗月に近づける筈だった。


あの黒木が相手なんだ、がむしゃらに動かなきゃだめだと思ったから。


立花「た、翼。」


美門「ん。なんでしょ。」


関係のないアーヤにもつい淡白な返しをしてしまう。


それほど追い詰められていた。


少しでも思考に隙間ができると先程の自信たっぷりな片山の顔を思い出す。


ああ、腹が立つ。


立花「翼・・・、東条さんのこと」


決定的な一言を遮ったのは当然だけどこの場に居る俺とアーヤ以外の人間。


七鬼「立花、黙れ」


珍しく語気を荒げた七鬼にアーヤどころか俺までたじろいでしまう。


立花「でも忍・・・。」


そう零して俺をちらっと見るアーヤに七鬼が更に凄む。


七鬼「kzとしての美門と、個人の美門を混ぜるな。」


―――それは俺を庇う言葉に聞こえた。


実際七鬼もそのつもりで放った言葉なのだろうが。


けれどその台詞は俺の心を深く抉った。


先程までの言動で自覚している。俺は明らかに公私混同していた。


それに気づいて無視する七鬼ではないだろう。


つまり。その言葉は【俺ならそこは分けるはず】という無条件の信頼。


俺はそれを見事に裏切ってしまったのだ。


立花「そ、そうだよね。ごめんねっ翼。」


そう言って頭を下げる立花にもそうだろ、と言わんばかりに笑顔を向けてくる七鬼にも。


美門「合わせる顔がない・・・。(ボソッ」


七鬼「なんか言ったか？」


美門「何でもないよ」


立花「そう？何かあるんだったら言ってね。」


―――言える訳が、ない。


俺はこの日から学校や塾といった学生のコミュニティから完全にフェードアウトした。

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