☆3 ページ4
「おはよ、A。」
「おはよう、由貴」
教室に入って一番に挨拶をするのは幼馴染で親友でもある井上 由貴(イノウエ ユキ)だ。
「ねえ、知ってる？今日転入生がくるって」
教室の1番後ろにある席に私が着くなり前の席に座っていた由貴は椅子の背もたれを抱えるようにしてこちらを向き、椅子の足2本に重心をかけると傾けて器用に座っている。そして私の机に肘を置き、話題を出した割にはあまり興味なさげに視線を動かした。
「え、そうなの？」
「聞いてないよねえ。」
私達はこのクラスで目立つタイプでは無い
だからそんな噂が回ってこなかったのだろうか
「イケメンがいいなー！」
「いや、美女だろ！」
由貴が視線を送った先では、クラスの中心である男女のグループが盛り上がっている。
「まあ、私達には関係ない話か。」
由貴がそう呟くのと同時に担任が教室へと入ってくる。
此方を向いていた彼女はくるりと正面に向き直り、他のクラスの面々も散り散りとなって自分の席へ戻っていくようだ。
(転入生か…なんでよりにもよって"高校2年生"の"5月"なんだろ。せめてキリよく4月の新学期に〜とかならわかるんだけど)
そんな事を考えながら自分の両隣にある空席へ交互に目をやる。
(このどっちかに転入生が座る感じ？だとしたら大人しい女の子とかがいいなあ、変に目立ったりしたくないし)
「…以上が職員会議で決まった報告です。」
私がぼんやりしている間に教壇に立つ担任は朝の話を終えたらしい。やばい、何も聞いてなかった。まあいいか。
「それと、今日からこの教室で皆さんと一緒に過ごすクラスメイトが増えます。」
担任の発言に教室が一瞬にしてざわめく。
「静かに！それじゃ、入って」
廊下に向かって担任が声をかけるとガラリと扉が開く。
そして転入生が入って……
(…え？2人？)
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作者名：StarDustStudio | 作成日時：2023年5月14日 19時
