Star Mint･.ﾟ｡･+ﾟ*｡ S.T ３【短編集】

★Pocer Face ページ8

いつだってポーカーフェイスな君を
どうしても笑顔にしたくて
俺は夜な夜な試行錯誤してるんだ







祥｢Aちゃんおはよう｣

『…おはよう』



表情ひとつ変えずにそう言う君
入学式からずっと気になっていた





―――――――――――――――

｢何あの子、めっちゃ顔こわ｣

｢話しかけると呪われるらしいよ｣

｢なんでいつも睨んでるんだろ｣



入学初日からそんな噂が立ち始め、今では誰も彼女に近づかなくなった







でも俺は知っている。
君はちゃんと優しい子なんだよ




祥｢…どこだっけなぁ｣


運の悪いことに提出プリントをなくし、机やらロッカーやらを探っていると
誰もいない放課後の教室に君は来た






祥｢…Aちゃん、俺のプリント知らない？｣

『…いや、見て、ない』

祥｢今日中に提出なんだよねー…｣




がさがさと漁っていると、Aちゃんもしゃがんで俺のロッカー付近を探し始めた



祥｢…ありがとね、わざわざ｣

『今日中なんでしょ』


やはり表情を変えずに言う


指定の長さのスカート
セミロングの髪
前髪が中途半端に長いせいか、表情が読み取れない






『なに、してるの…？』


その一言にはっと我に返る
俺は彼女の前髪を分けていた



目が完全に見えた。
くりっとしたまん丸い目

おでこ丸出しの彼女はとても可愛くて
ずっと俯いてたからわからなかったけど、メイクもきちんとしている
一言で言ってしまえば、美人。







祥｢顔見えてる方が好きかな｣

『…戸塚の好み聞いてないし』

祥｢ははっ、だよなぁ｣




だめだ、彼女には勝てない。
夕日がさす2人きりの教室に俺の笑い声だけが響く









やはり彼女を笑顔にできるのはもう少し時間がかかるのかもしれない

でも少しずつ距離は縮まっている気がする






祥｢Aちゃんおはよ｣

『…おはよう、戸塚』





俺は確信した




祥｢でこ出してんじゃん｣

『占いのラッキーポイントだし。
戸塚の好みに合わせたわけじゃないから』




そう言いながらも少し頬を染めている君が愛しくて



祥｢可愛いね、でこ出し。
毎日それにしなよ｣

『…占いの結果が続けばね』





少し口角を上げたところを見逃さなかった



やっと、微笑んでくれた。







.



fin.

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