調理 ページ24
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捌いたって捌いたって、無限にわく低級呪霊。
解って、自分を下の階に放置したのかと己の師を恨めしく思った。しかし、彼ができると思って置き去りにしたのなら、きっとできる。根性論なんか信じるもんじゃない。しかし当然、彼の方がこれらの有象無象よりよっぽど強いことは明白だった。そういうことだろうか。
せわしなく、手を動かす。せわしなく、頭をはたらかせる。
無下限を使えば、きっと全部ふっとばせる。しかし、今回建物の被害も最小限に抑えなければいけない。普通は見えないのだ。そんな見えもしないものを討伐するために壊れました、なんて子供に説明がつかない。なにも、見えないものまでわかるわけではない。そこまで子供は聞き分けが良くないことだって、自分に重ねて悟は理解していた。
それに、無下限はまだ扱いなれない、諸刃の剣未満の代物である。そうやすやすと上手く使えたならば、今頃五条家は御三家に大きな差をつけているのである。これは、どの術式にも言えることだが。六眼は、主人の世話までしてくれないのだ。
そんなこと、わかりきっているから。低い姿勢で、自らを床に溶かすように滑り込んで。
搔っ捌く。
頭上にまで切り上げた瞬間、煤煙が舞った。___呪霊の塵。低い姿勢をとっていた。周囲を、立ち上がって見回す。…あらかた、片付いたようだった。
何かに取り憑かれたように、呪霊たちは下の階にやってきているようであったが、何か上で師がしたのか。はてさて、見当もつかない。あとで恨み言の一つくらい吐こうと、向きを変えて二階へ足をのばした。
..
2コール目で、やっと繋がる。
「終わった」
『早いですね。二階にはもっと居ますから、頑張るように』
「何でそれ知って___って、」
彼はさっさと言いたいことだけ言って、通話を一方的に切った。ち、と舌打ちして、また増えた吐く予定の、恨み言の数を数えた。そろそろ、今日だけで片手で収まらなくなりそうだ。甘いものでなくてもいいから、何かしら奢らせてやろうと内心思いながら、ナイフを持ち直した。
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月山(プロフ) - むさん» ありがとうございます。私もそこはとても気に入っていたので、そう言っていただけて嬉しい限りです。 (2021年2月3日 23時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 5ページの最後が天才すぎます。。。もう滅茶苦茶好きです。応援してます…! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
月山(プロフ) - 腐ぉーちゅんさん» ありがとうございます。更新が遅くなってしまい申し訳無いです。楽しんでいただければ幸いです。 (2021年1月30日 23時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
腐ぉーちゅん - 初めまして。次が楽しみで仕方ないです(((o(*゚▽゚*)o)))更新お待ちしておりますm(_ _)m (2021年1月26日 20時) (レス) id: 6ffd1602df (このIDを非表示/違反報告)
莎(プロフ) - Noahさん» 勿体ないお言葉をありがとうございます。ご期待の添えるよう頑張りたいです。 (2021年1月12日 19時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月山 | 作成日時:2021年1月11日 9時