雷鳴 ページ18
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ぼうっと、何を見るでもなく、熟れた春の淀んだ空を見つめる。
綿のような、それでいて溶けるような雲が、むらさきと青が混ざった空に浮かんでいた。
『ふふ、ロマンスの季節ですか？』
「うっわ……何わけわかんねーこと」
言ってんの、と座布団を投げる。
『わかりますよ、春ですもんねぇ』
「話聞けよ…」
彼はいつだって、誰にだって態度を変えないし、調子も崩れない。ただ、講釈を垂れる時だけはすこしうざったい。改めて思い直せば、なかなか変わった人だった。
いつか、その余裕ぶった表情を崩してみたい。
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『あれ、上手になりました？』
「そりゃ、どーも」
『たずねただけですけど』
「は」
今日も今日とて、ひらり、ひらりと躱す彼の動きのパターンはいつだって変わらない、はずなのに読めない。なにかが
その一瞬のあいだ。
見えた、と一閃に思い切り呪力を乗せる。その軌道に、そのまま、思い切り殴る。何かに触れたような。土ぼこりが立って、よく見えない。
『よく、やるようになりましたねぇ』
先から声がした。よく、聞きなれた声だ。
ゆらりと立ち上がった彼は、左腕を右手で支えていた。呪力の流れが見える__あれは、反転術式？
と、いうことは。
「今、もしかして触れられた？」
『ええ、腕を…うぉ〜っと』
「うっわ！！！化け物！！！」
油断大敵！いつかのように背後に回って殴り込む。あっけなく、彼の頰の真横の空を切った悟の右手。手首を掴まれて空中を回った。
盛大に笑ってやろうとの思った。ただ、魔がさしただけなんだ。
そんな言い訳を聞き入れるそぶりもなく、師はとんでもない形相である。
のどかな昼下がり、五条悟(10)はこの世の終わりを直感した。
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月山(プロフ) - むさん» ありがとうございます。私もそこはとても気に入っていたので、そう言っていただけて嬉しい限りです。 (2021年2月3日 23時) (
レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 5ページの最後が天才すぎます。。。もう滅茶苦茶好きです。応援してます…！ (2021年2月3日 15時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
月山(プロフ) - 腐ぉーちゅんさん» ありがとうございます。更新が遅くなってしまい申し訳無いです。楽しんでいただければ幸いです。 (2021年1月30日 23時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
腐ぉーちゅん - 初めまして。次が楽しみで仕方ないです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))更新お待ちしておりますm(_ _)m (2021年1月26日 20時) (レス) id: 6ffd1602df (このIDを非表示/違反報告)
莎(プロフ) - Noahさん» 勿体ないお言葉をありがとうございます。ご期待の添えるよう頑張りたいです。 (2021年1月12日 19時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月山 | 作成日時：2021年1月11日 9時
