死柄木弔の妹 season6【ヒロアカ】 (ページ38)

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「まったく、ヒーローってのはどこにでも現れんのな」

「…こんにちは」

運転席を守るようにして立ちはだかる。

今はここを敵に譲るわけには行かない。何としても守らなきゃいけない場所。

停めたら逃げられる恐れもある。

そこを包囲してもいいけど、そしたら通行人の殺害などさらなる人的被害が及ぶ危険性もある。だから私は運転手の人に停めるなと告げた。

ホークスの剛翼なら、きっと電車の窓も割れるはずだから。

「目的は何？」

「…目的なんざねェよ。俺はただ、ストレスの発散がしたいだけだ」

「…そう」

そう言うやいなや私に殴りかかってくる男。

スピードはそうでも無いけど、パワーは普段の出久くらいある気がする。つまり個性はパワー増加。

うーん、ちょっと私の苦手な分野だなぁと苦笑いを浮かべながら、そいつの攻撃を受け流す。

捕縛布で捉えようにも障害物が多すぎるし。

強いて言えば手すりに巻き付けて予測不可能な動きをすることくらいしか出来ない。

はやくホークスきてくれないかなぁ、なんて思いながら、私は電車の外をちらっと見た。

赤い羽根が見えて、思わずニヤリと笑ってしまう。

「どうした、もう終わりか？！」

「終わりなのは貴方。」

「…は？」

刹那、羽根で窓が割られ、私と彼で敵を挟むようにホークスが立っていた。

「君って案外人使い荒いんだね〜。アイロンにそっくり」

「それは褒められてるってことでいいですか？」

“まぁ褒めてはいるかな”とニコニコと笑う彼に私は１つ息を吐いた。

私と彼の会話に呆気に取られている敵をホークスが羽根で刺し、緩んだところを私が捕縛布でガチガチに締め上げる。

「それ、イレイザーヘッドとお揃いじゃーん」

「…何か文句ありますか」

ホークスにそう言うと、彼は面白そうに笑みを浮かべる。

「君とは仲良くしたいんだよ」

「どうしてですか？？」

ホークスはニッコリと笑うと、“ヒーローが暇になる社会”と告げてくる。

私は驚いて彼の方を見上げた。

「ツクヨミくんから聞いたよ〜。俺もそういう社会にしたいんだ」

「！！」

いた、見つけたよ、焦凍。

「そんな人、私以外にいるとは思いませんでした」

「俺も〜」

パンっとハイタッチする私とホークス。

ホークスは私をちらりと見てニッコリと笑った。