死柄木弔の妹 season6【ヒロアカ】 (ページ31)

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「A、今大丈夫？」

「溜！！」

雄英の制服を着た幼なじみが見えて、私は思わず彼に駆け寄った。

B組の演目は見れてないけど、面白かったって事は周りの反応から想像ができたから。

「久しぶり。寮になってから全然会えてなかったから」

「俺も。元気そうでよかった」

“倒れたって聞いて心配したんだぞー？”

そう言って私の頭を軽く撫でる溜に私も笑みがこぼれた。

懐かしいこの感じ。

げんちゃんに、あの時の記憶を見せられてから、ずっと溜に会いたかったんだ。

文化祭の準備が始まって忙しくて、なかなか会えそうになかったんだけど。

「轟、ちょっと借りてもいい？」

「…あぁ」

溜は焦凍にそう言うと、私の手を掴んでスタスタと歩き始めた。

なんだろう、そう思いながら彼に引っ張られていくと、人気(ひとけ)のないところで彼の足は止まった。

「溜？どうかした？」

「鉄哲から聞いたよ。轟とA、間違いなく付き合ってるって」

「あぁ…見られちゃってたんだ」

鉄哲くんもなかなかひどいなぁ。だってほら、恥ずかしいじゃん。

それに

「ごめんね、溜に伝えなくて」

「ホントだよ〜、Aに彼氏が出来たらすぐ報告するって話だったじゃん！」

「すぐも何もそのハグの時付き合い始めたんだけど」

「え、じゃあまだ付き合いたてほやほや？」

「何その出来たてほやほやみたいな言い方」

溜の気持ちに気づかないほど、私も鈍感じゃないから。

だから、私は溜にの頭を優しく撫でたんだ。

「ごめんね」

「っ、やっぱバレてるよね。別にいいけど。隠すつもりもなかったから」

溜はにっこりと相変わらず爽やかな笑みを浮かべていた。

「幸せになれよ」

「敵の妹だけど、幸せになります」

“そうそう、そうじゃなくちゃ”

なんて言って笑う溜に私も思わず笑った。

溜も幸せになって欲しいな、なんてことを思いながら。