死柄木弔の妹 season6【ヒロアカ】 (ページ29)

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お化け屋敷は思いのほかクオリティが高くてびっくりした。

人使が上から落ちてきたのは結構ガチでビビったな。

だってあの人そもそも隈すごいから怖いのにメイクしたらガチモンのお化けじゃん。

でもヒーロー志望の私たち…特に、あんなとこを体験した私たちは時折ビクッとなるだけで、普通科の子達はつまらなそうにしていた。

「ヒーロー科ってやっぱある程度耐性ついてるの？」

「いや…多分私たちが特殊」

あんなことがなければ、多分私たちだって普通に怖がっていたと思う。

「そう言えばさっきヒーロー科の女の子が全力で怖がってくれたなぁ…」

「その子たち多分透明でしょ」

「お、正解！やっぱそういうキャラなんだね」

何気なく話す私たちに焦凍が“知り合いなのか？”と聞いてくる。

知り合いなんかじゃないけど、ヒーロー科である私に気軽に話してくる女の子。

「志賀さんは私の妹の恩人だからね」

「え、そうなの？」

“うん”とあっけらかんという彼女に、そんな助けた記憶のない私は必死に記憶の中を探った。

「アイロンとエイルっていうすごいヒーローに会ったよって言ってた」

「え、じゃああの時…！！」

あの時、初めて私が自分のヒーロー名を名乗ったあの瞬間。

「うん、助けてくれてありがとう。ヒーロー。」

「！！！」

こんなに感謝されるなんて、本当に嬉しかった。

これがヒーローをやっていく糧になる、心の底からそう思った。

「これだけ伝えたくてさ。体育祭では露骨な態度取ってごめんね」

そう言って自分の持ち場まで走り去っていく彼女の背中を呆然と見つめた。

何となく、自分の今までが報われたような気がして、私は思わず笑ってしまった。

「良かったな」

「うん」

焦凍は私の頭を撫でると、ふと真剣な顔をした。

どうしたんだろう。そう思って彼の顔を覗くと、焦凍は小さな声で、でもはっきりと私に告げてきた。

「もう待てねぇ」

「っ！」

それが何を意味するのかは私が一番よくわかっているから。

本当は私からちゃんと言うつもりだったけど、この雰囲気に任せて私も小さく、でもはっきりと彼に伝えた。

「もう、待たなくていいよ」

焦凍の目が大きく開いて…その後私をぎゅっと抱きしめた。