死柄木弔の妹 season6【ヒロアカ】 (ページ26)

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「雄英全員…音で殺るぞ!!!」

どぉん…!!

お腹に響く爆発音。

爆風で倒れそうになるのを堪えながら、私たちはバンド組の音に合わせて踊り始めた。

「よろしくお願いします！！」

響香のその声に合わせて、私と三奈が飛ぶ。

そのまま空中でハイタッチして場所を入れ替えた。

観客を楽しませるには、まず私たちが楽しまないと。

お互いがお互いにそういうように、にっこりと笑いながら。

サビまでが楽しくて楽しくて仕方がなかった。

きっと私の今の表情ニコニコだろうな、なんて思いながらダンスを踊る。

「Oh…」

その瞬間、客席に大きな氷と、テープが現れ、鳥と紙でできた花が舞った。

全て個性の代物であり、また演出の一環でもある。

「ふふふっ！来た！！」

その光景に思わず笑ってしまう。

私はお茶子に浮かしてもらい、客席をぐるりと回る。

「エイルさん！」

「エリちゃん！！」

ぐっと親指を立てて彼女に笑いかける。

通形先輩が私に対してにっこりと微笑んでくれたのがわかった。

通形先輩。そこは特等席ですからね。

エリちゃんが開放されるその瞬間を見ることが出来る、最高の特等席。

氷の上にたどり着くとお茶子が個性を解除する。

焦凍が滑りにくくしてくれているらしくて、私たちは滑ることなく踊り続けることが出来た。

梅雨の下でお茶子を支えて今度は彼女が観客を浮かしにかかる。

その時、下でエリちゃんが笑ったのが見えた。

「…っ！！」

その瞬間、嬉しいはずなのに何故か涙が出てきて。

治崎(束縛)から開放された彼女に、祝福をしたくて。

天井に突き刺すその指に全てを込めた。

エリちゃん、これからはもっと…きっと、もっと強くなれるよ。

エリちゃんが守りたい人をきっと守れるようになる。

だから、笑っていようね。エリちゃん。