死柄木弔の妹 season6【ヒロアカ】 (ページ22)

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「話って何？」

「…見当ついてんだろ」

勝己の言う通り、彼の言う“話”には心当たりがあった。

勝己だって私に、特別な感情を抱いていることを知っていたから。

「うん、知ってて来たよ」

「っ、だったら話は速ぇよ」

苦虫を噛み潰したような表情をする彼を急かそうとは思わなかった。

だって、頭のいい彼のことだから、きっと勝己も気づいてる。

「テメェと初めて会ったあん時だ」

「っ！」

どうやら勝己はきっかけから話してくれるらしい。

それは覚悟していなかったから、少しだけ怖かった。

「自分だってデケェもん抱えてんのに、人の怪我優先させてんのが、ガキだった俺でもわかった」

勝己が苦々しい表情をする。

確かに個性を人に使ったのは勝己が初めてだった気がする。

「それから、てめぇのことを忘れたことは無かった。ガキながらにわかったよ」

“テメェのことが好きだって”

そう言った勝己に思わず私は“ごめん”と告げた。

焦凍に触れられる度、他の人では抱かない感情を抱くんだ。

勝己とともに闘いたいと思ったことなら数え切れないほどある。

頼もしくて、優しくて、味方ならとても心強い存在だと思っているからだ。

でも、焦凍はそれが少し違って。

「あの日、共有スペースで轟に言ってること全部聞いた」

勝己は少しだけ悔しそうに目を伏せた。

どことなく大人びた勝己に私はなんて言えばいいのか分からなくて、黙ることしか出来なかった。

「俺は直接聞くまで認めねぇ」

勝己の真っ直ぐな瞳に射抜かれて、私はぐっと彼を見つめた。

なるほど、だから。

「だから、俺を振れ。」

勝己の口から、残酷な言葉が飛び出してきた。

でもきっと、彼の方がこれから残酷な言葉を浴びるのだろう。

だから私は意を決して口を開いた。

「っ、ごめん。ごめんね、勝己…」

「…ンでテメェが泣いてんだよ。泣きてぇのは俺だ」

勝己にそう言われ、私は今度は必死に涙を抑えた。

自分の言った言葉なのに、どうしてこんなに傷つくのだろうか。

「でも、勝己とはこれからも一緒にいたい。切磋琢磨したい」

「俺もだから安心しろ。半分野郎が泣かせたら俺が問答無用で奪ってやる」

「っあはは！いいね、勝己らしいや」

高校生である私たちはぶつかることだってある。

ときにはこうやって恋で傷つけあって…それでも前に。

私たちはこうやって少しずつ成長していくんだ。