死柄木弔の妹 season6【ヒロアカ】 (ページ13)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:24,959 hit

238. ページ13

.

「焦凍お疲れ様」

「Aも。ダンス大丈夫か？」

「…ま、まぁ…。多分なんとかなると思う…」

私の表情に全てを察したのか、彼は“頑張れ”とただ一言言ってから私の頭をぽんっと撫でてスタスタと歩いていってしまった。

私は思わず頭頂部を自分で触ってしまった。

なんでもないその行動にどこか胸の高鳴りを感じながら。

「A顔真っ赤だよー？何かあったのー？？」

「ぴえっ」

三奈の突然の登場に驚いて仰け反ると、私の反応が面白かったのか、クスクスと三奈は笑い始めた。

「なになに？A轟が気になってる？？好きな人になってる？？」

「すきな、ひと？」

三奈の方を向いて目をぱちぱちさせると彼女はまた面白そうに吹き出した。

それを見ていた透も私の方に寄ってきて、どこからともなくガールズトークが始まっていく。

「私は轟がいいと思うよ！天然っぽさがあるけど、やっぱりかっこいいし優しい！！」

「爆豪もありだと思うなぁ…。Aちゃんにだけ優しいってモロだもん！」

「…私をおいてけぼりにしないでよ…」

私を置いて盛り上がる二人にいざ自分の好きな人を聞いたらきっと顔を真っ赤にさせるんだろうな。透は見えないけど。

なぜだか2人のその話に耳を傾ける自分がいて、なぜだか私もその光景に口角が上がっているのがわかった。

「で、どうなの？！」

「好きとか、この人といると楽しい、とか！」

「えー…」

好きという感情はわからないけど、彼の隣に立ちたいと思ったことならある。

彼が抱えるたくさんのものを私も一緒に背負いたいと思ったことならある。

もしそれが好きだという感情なのだとすれば、私は彼のことが好きだ。

でも、私は…

「私は、幸せになっちゃいけないから」

敵を兄に持つヒーローだなんて、絶対に幸せになんてなっちゃいけない。