145. ページ10
緑谷side
「よォA組」
飯田くんの言葉を受け止めて、それでいて行こうと言うことになると、病院の入口にB組の男の子が立っていた。
志賀さんと同じように黒い髪を靡かせるその人は、確か志賀さんと同じく前期選抜で入ってきたという男子生徒。
「行くんだろ、助けに」
切れ長の目から鋭く青色の光に貫かれた僕は動けなくなってしまった。
「あぁ。俺たちにできることをしに行く」
「なら俺も連れて行け」
彼の言葉に思わず耳を疑った。
どうして、彼は。これは
「緑谷と同じ。俺も幼なじみ放っておけるほど冷たい人間じゃねぇよ」
彼の言葉に耳を疑った。
そう言えば、志賀さんの幼なじみが雄英にいるって言ってたな。
そうか、だから動かずにはいられないんだ。
「ついでにお前らの足止めでもしてやるよ。ここに来てる奴らがクラスメイト攫われて現場で冷静保てるとは思えねぇし」
その人は欠伸を一つこぼしてから“割と俺も使えると思うよ”なんて呟いた。
割と使えると思う。そういえば彼の体育祭で個性を使っているところを見なかったように思う。
まさか前期選抜の人が無個性なんてありえないし、どういうことなのだろうか。
「特赦を受けたとか知らねーけど、俺はAを助けたいんだよ。Aのヒーローになるって決めてんだ」
その人の横顔はどこか相澤先生に似ていた。
僕らとは違う視点で、でもまっすぐにヒーローなんだ。
「…放出、だったか。行くぞ」
「おー」
轟くんの隣に放出くんが立った。
その2人の背中はとても頼もしくて、大きく感じた。
その頼もしい背中が、どこか志賀さんのそれに重なって見えたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
