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「…今回は人助けがメイン。」
「うん、そうだね…志賀さんの個性が重要になってくる」
出久の言葉に頷いて私は声を上げた。
「負傷者を重症度別に私のところまで運んでください。私、治せます！」
これが私にとっての最適解。
「嫌だよ。どうして敵の妹にけが人運ばなきゃなんねぇんだ」
それでも本当にヒーロー志望かよ、と言いたくなるのをぐっと堪えた。
「おい」
勝己が私の隣に立った。勝己の右腕を掴んで彼を止める。
勝己は舌打ちをして私の後ろに下がった。
「別にいいですよ。それが貴方のやるべき事だと思ってるなら」
私の言葉に今度はその人が舌打ちをした。
「ヒーローとしてやるべきことをやりましょう。」
私の言葉に、黒髪の男の人が頷いた。
「とりあえずけが人が出たらお前のところに運べばいんだな！」
その言葉は少し嬉しい。
信頼してくれたのだろう。
「えぇ。必ず助けます！」
「よし！じゃあみんな、けが人でたらここに運ぼう！」
比較的壊滅の少ないところに私は立っていた。
みんながけが人をここに運んでくる。だから私はあんまり遠くには行けない。
「…誰かぁ…！」
「…っ、見捨てれるわけないじゃん！！」
1番近い瓦礫の山から声が聞こえる。
声が聞こえるってことはつまり、そう遠くない。
みんなは確かに運んでくる。だけど！
「大丈夫です！！私はヒーローです！！落ち着いてください！！」
まずは要救助者への声がけ！
大丈夫か尋ねるのはヒーローとしての禁忌。
大丈夫だって事をアピールすることが大事…お父さんに教わったこと！！
「…っ、いた！！」
男性が足を抑えて座っていた。
ヒーローはみんなを放っておくなんてできない。
だから、私は要救助者に向けて微笑んだ。
「もう大丈夫です。痛いところはありますか？」
「…っ、足を…」
これはお母さんの教え。
ヒーローは常に笑顔でいろって足に視線を移すと、血がダラダラと出ていた。
足が痛いのは厄介…横抱きで運んでもいいけど結局治すだろうしな。
「ちょっと貸してください」
「え？」
“大丈夫”の意味を込めて私はその人に微笑んだ。
5本指で触るとゆっくりと治っていく。
「はい、もう大丈夫です！」
「！歩けます！！ありがとうございます！」
私は救護所へ彼を運んだ。
ここは範囲が広い。1箇所じゃきついだろうな。
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