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緑谷side
僕達は合宿所近くの病院に運ばれた。
とは言っても、志賀さんが大半治してくれていたから、そんなに大きな手術などはしなかったんだけど。
それでも、医師の人から“このままだと、その右手は使えなくなるよ”的なことを言われた。
僕の右手は、爆弾と同じようなものになってしまったのだ。
「…志賀さんが治してくれていたから、あと何回かは使えると思うけど、本当にもうだめだからね」
「…はい、わかりました」
保須に続いてまた僕は志賀さんに助けられてしまった。
これ以上、僕らのために彼女が無理をしないで欲しい。
「轟くん、大丈夫…なんかじゃないよね」
「…あぁ、緑谷か。悪ぃ。今余裕ねぇんだ」
「うん、そうだよね」
『大丈夫だよ、焦凍くん』
『来んな、デク』
ニッコリと微笑んでそう告げた志賀さんと僕にそう言って突き放したかっちゃんの声が脳裏をすぎる。
僕でさえ凄く悔しいのだから、彼女に特別な感情を抱いている轟くんはもっと悔しいだろうな。
「…かっちゃんも、志賀さんを庇おうと無理してないといいけど」
「爆豪ならきっと死ぬ気でAのこと護るだろ。…助けられなかった俺が言うのも違ぇけど。」
「そんな、轟くんは…」
言いかけて止まった。
彼の、強く握りすぎて血が滴る右手を見てしまったから。
「…っくそっ！！」
轟くんが病院の壁を思い切り殴ったのが見える。
いつだって冷静に対処できる轟くんが情熱的になっていたし、なにより轟くんがこんなにも感情を顕にした所を初めて見たような気がする。
「轟くん、ここ病院…！」
僕のそんな声には振り向きもせず、轟くんはそのままスタスタと歩いていく。
「轟くん…」
そんな轟くんに切島くんが駆け寄っていくのが見えた。
切島くんはかっちゃんと対等に話しているし、もしかしたら彼なら轟くんの為の言葉を送れるのかもしれない。
「デクくん心配なん？」
「うん…かっちゃんと志賀さんは勿論なんだけど、轟くんも」
麗日さんにそう言うと、彼女もまた同じような表情をした。
「大丈夫やよ。三人ともこのクラスでもトップクラスやもん」
麗日さんの言葉に頷きながらも、僕はかなり不安だった。
どこか、嫌な予感がしたんだ。
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