166. ページ31
.
どぉん…という低くお腹に響く音が聞こえる。
崩落かと一瞬身構えたけど、多分これは違うだろうな。
「A」
「うん、多分これは勝己だ。それであの人たちは多分まだ訓練続行してる」
あの状況でも飛んできた、オールマイトを知ってる勝己なら絶対にこの状況で訓練を辞めるなんて言わない。
「この状況で？！」
「…オールマイトなら、絶対に助けに行くから。訓練だろうとなんだろうと、助けを求める人のところに」
その姿を見た私と勝己にしか分からないことかもしれない。
でも、確かにあの姿は、ヒーローだったから。
「私は勝己のところに行くよ。あのバカたまに無茶するから」
その時壁から水が溢れ出てくるのが見えた。
「…っわかりやすくピンチだね」
「一番下が一番やばいだろ。爆豪たちのところ行くぞ」
“困ってる人を助けるのがヒーローなんだろ”
そう言った焦凍の顔はどこか晴れていた。
この人は本当に変わったな、そう思わずには居られなかったんだ。
「常闇、ダークシャドウで床を破壊してくれ」
「この暗闇では制御が」
「俺の炎がある」
そう言って左手に炎を宿す焦凍に微笑んだ。
そしてダークシャドウが床を破壊すると直ぐに焦凍が氷を下へ下ろす。
「登ってこい！！」
「誰がてめぇなんかの世話になるか！」
「じゃあ私のお世話になる？？」
「…っ却下だ！！」
その後電気がなんとか説得して、勝己と鋭児郎と電気は焦凍が下ろした氷を登ってくる。
そしてその後は焦凍が凍らせるとかなんとか言ってたけど、多分この人のキャパじゃそれは無理だ。
かと言って私がいたら邪魔になるかもしれない。
それでも、私は残らずには居られなかった。
「行かないのか？」
「何かあったとき、治癒は必要じゃない？」
焦凍は私を見るとふっと微笑んでみせた。
「相変わらずだな」
「あれ、それは褒め言葉？」
憎まれ口を叩きながら、私はまたその下を見つめた。
その後、勝己が隣にいるのを見て私は思わず笑ってしまう。
「んだよ」
「いや、優しいなって」
焦凍ひとりじゃ処理できないことを見計らって。
助けるために残るなんて、優しさの塊じゃん
「俺ァ借り作ったままが嫌なだけだよカス」
「も〜、酷いやつだなぁ」
これから少しづつでも、勝己がより良くなってくれるといいな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
