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「志賀、爆豪。2人は真ん中歩け」
「…うん、わかった。」
私は勝己くんの腕を掴んで4人の真ん中に立った。
“俺を守るんじゃねぇ！”という叫び声が聞こえてきたけど、そんなことを言っている場合じゃない。
暫く歩くと、お茶子ちゃんと梅雨ちゃんが交戦してるのが見えた。
けど、声をかけようと思った時には何故か1人になっていて。
敵の個性で私たちを閉じ込めたのだろう。
でもこれではっきりした。
彼らは私たちを生きて連れて帰ってこそ意味があるんだ。
なら、どうして？
“敵連合”なんて言うことは転にぃのグループ。私なら真っ先に私のことを殺すと思うんだけど。
そんな時、解除されたのか、外の景色が見える。
「A…！！」
焦凍くんが必死に腕を伸ばしてくれているのが見えた。
こいつらは私たちを殺さない。
でも、他の今いる緑谷くん、障子くん、焦凍くんもそうだとは思えなかった。
「大丈夫だよ、焦凍くん」
だから、私はニコリと微笑んで彼らにそう告げた。
「ありがとう」
そしてそのまま、暗くなる意識に身を委ねた。
「悲しいなぁ、轟 焦凍」
最後にそんな声が聞こえたような気がした。
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カチャカチャと鳴る音が聞こえる。
その音に目を開けると、ツギハギだらけの男が私を拘束しているのが見えた。
「あ？起きたか？」
「こんにちは」
相手の目を見据えてそう呟くと、その男は“敵の本拠地だってのに余裕だな”と私に言ってきた。
その男の目はどこかステインを連想させるほど信念がある目をしていた。
何か目的があるんだ。揺るがない彼にとっての目的が。
隣を見ると勝己くんが同じように拘束されている。
やっぱりこの人たちは私たちの命を奪いたいわけでは無いんだなということを理解するのにはそれだけで充分だった。
「私は、ヒーローに拾われた転にぃみたいなものですから」
「転にぃ？」
その時ドアノブを捻る音が聞こえてきた。
こんな状態では何も出来ないから、私はただそちらを見ていた。
そこには手を外した転にぃの姿があった。
「久しぶり、転にぃ」
「…っ“転にぃ”ってこいつか？？」
「迂闊にその名前を呼ぶなよAちゃん」
私の目の前にやってきて彼はニヤリと笑みを浮かべる。
「じゃあ久しぶりにお話でもしようか。我が妹よ」
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