151. ページ16
相澤side
「マスコミに流すとしたら内部からだ。雄英の教師と一部のプロヒーロー、そして放出くんを初め5人の生徒しか知りえない情報だから。」
鉄哉さんが小さくつぶやく。
たぶんこの人は、全寮制の目的を知っている。
「守るだけじゃねーだろ。目的は」
「…はい。今回の林間合宿とAさんの件でほぼ明らかになった内通者の存在…これをあぶりだすことも今回決断に至る理由の一つでもあります」
今回のオールマイトの引退を受けて我々も動かないわけにはいかないだろう。
だから、鉄哉さんが雄英に来てくれるなんて、こちらとしてもありがたいこと。
「その内通者は、おそらく敵側からAが死柄木弔の妹であると聞いたのだろう。そしてAを手っ取り速く雄英から退け、自分たちの手にするには、それをダシにするのが一番だ。最近、いちばん気にしていたことだから」
鉄哉さんが志賀から出されたお茶をすすりながらつぶやく。
確かにUSJ事件以降、志賀は時折複雑な顔をする。
それを隠し、さらに上乗せするほどの実力があるから目を瞑ってきてはいたが…
「敵はきっとAをあきらめない…父親として、行かないわけにはいかねぇよ」
鉄哉さんが苦しそうな顔をしているのがわかった。
この人には当然その権利がある。雄英を卒業し、NO.10ヒーローにまで上り詰めたこの人には。
「俺はランキングには正直興味ないんだよね。ただやりたいことやってたんだ。気が付いたら
そう、この人はそういう人なんだ。
いつだってにこにこ笑って、余分なことをしないで。でも、まっすぐでいつも誰かを引っ張っている。
そんな、俺の、
「だから今もやりたいことをやるよ。守りたいものを守るヒーローに」
そんな彼の顔は、あの時から何も変わっていなかった。
「守れなくて後悔するなんて、もう耐えらんねーからな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
