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歯から伸びてくる刃に頬を掠められ、血が少しだけしたる。
「A！」
「大丈夫！」
警戒しながらその敵を見つめていると、後ろからB組の男の子を背負った焦凍くんがやってきた。
「焦凍くん！なんで…！」
「戦闘においては無個性同然のAを放っておく訳にはいかない。それに爆破はこの状況じゃ無闇にぶっぱなせねぇだろ」
焦凍くんと勝己くんが私を庇うように立った。
その時マンダレイのテレパスが頭を駆け抜ける。
『A組B組総員。プロヒーローイレイザーヘッドの名において…』
『戦闘を許可する!!』
その言葉に2人が口角を上げた。
「これで堂々と戦えんな！」
「…あぁ、けど爆豪、お前は無駄に使うな。爆破は自分たちの視界も遮る上に山火事の原因になり得るだろ」
焦凍くんの言葉に勝己くんは舌打ちで答えた。
多分それは勝己くんにとって“了解”を示すのだろうな。そう思って軽く息を吐く。
そんな時、マンダレイのテレパスがまた頭に響いた。
勝己くんと私が狙われているということだった。
「…俺一人で3人庇うのはさすがに無理がある」
「俺は守ってもらわんでいいわカス」
「…私も、自分の身は自分で守るよ」
焦凍くんにそう言うと、彼は私に背負っていた男の子を預けてきた。
「背負えるか？」
「うん、大丈夫！私これでもヒーロー志望だからね」
そう言ってその男の子を背負うと、また敵から刃が送られてくる。
それを焦凍くんが氷でどうにか抑える。
焦凍くんと勝己くんが小さく舌打ちしたのが聞こえた。
「怪我は治してもらえるとはいえ…この状況じゃ無理だな」
焦凍くんが私をちらりと見る。
この敵に対して私たちの力でできることは防戦しかない。
私は武器もこの場で役立つ力もない。
そして何より、私たちを庇う為に氷をいっぱいぶっぱなしている焦凍くんに霜がおりはじめた。
どうしよう、そう思って前を見据える。
そんな時、ドォン…！と低くお腹に響くような音がするのが見えた。
「…っ、まさか…！」
こんなことできるの、緑谷くんしか居ない。
それか…
「氷だ！！交戦中だよ！！」
緑谷くんを複製腕で背負う障子くんとダークシャドウが暴れて制御出来なくなったのだろう常闇くんがこちらに向かってくるのが見える。
「爆豪、轟！どちらでもいい…！光を…！」
爆豪くんと私がペアで、爆豪くんには光がある。
緑谷くんが思いついたのか、そんな案を。
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