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大きな声が聞こえて、咄嗟にそちらに向かって走った。
「大丈夫です！今助けます！！」
私ができることはそれくらいしかない。
だから今は声を上げるしか…。
「…っ！アンタは敵の妹だろ！ふざけんな！！ヒーローを呼べよ！！」
「！」
このパターンは確かに考えられる。
マスコミがしれっと私が死柄木弔の妹であることを漏らしたんだから。
一般市民にも当然それは根付いてるはずだ。
ここで黙るな。ここで黙ったらかなり減点を食らうことになる。
でも間違った言葉もかけちゃいけない。
考えろ、考えるんだ…！
「私はっ、ヒーローです！」
「アンタは敵の妹だろ！何がヒーローだよ！！」
「…っ、大丈夫。私は、助けに来たんです。あなたを」
まっすぐ相手の目を見据えてそう言うと、彼はハッと息を飲んだ。
そして、彼の目が緩んだように見えた。
「両足が痛いんですね。今治します」
私はふわりと微笑みながらその人の足を触った。
その人は痛みも無くなったのかじっと私のことを見つめる。
「…さっきは悪かったな」
「いいえ、ずっと助けが来なくて辛かったんですよね」
私の言葉にHUCの人が目を丸くさせる。
「もう大丈夫です。
しかしそんな時、建物が更に崩壊を始めた。
「…っ！嘘だろ…」
多分皆は敵退治の方に向かってるから応援は呼べない。
私ひとりでここを乗り切らないと。
まずは要救助者の安全を確認。
怪我はない。目立った外傷はないけど、今ので絶対焦りが出ている。
周囲の状況としては瓦礫で覆われていて、退路を断たれてる。
これを直そうにも何分かかるか分からない。
お茶子か百なら簡単にクリアできそうだけど…ないものねだりは仕方がないかな…。
「大丈夫です！絶対にここから助けます」
方法なんてない。
どうすればいいかなんてわからない。だけど。
「なぁ爆豪ー、本当にこの辺残ってるの？」
私は三人に向かって声を上げた。
「チャージズマ！烈怒頼雄斗！勝己！！」
「っ、エイルか！どこにいるんだ！」
「その瓦礫を挟んで犯人の向かいにいる。要救助者は一人。怪我はほぼ完全に治した！」
勝己なら上手いことこの瓦礫の柱に穴を開けてくれるはず。
「瓦礫との距離は約5m！必要ならもっととる！」
お願い。私たちを助けて。
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