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「お茶子おはよう」
「Aちゃんおはよう！！寝れた？」
「寝れなかった。興奮して」
お茶子にそう言うと、彼女はニコリと微笑んでくれた。
昨日、あんなことがあって、興奮したんだ。
私だってヒーローになれるって心の底から思えた。
ブレブレだった軸が、ようやく。
「って、今うちのこと“お茶子”って！」
「…うん、信頼してる人は下の名前で呼び捨てにするんだ。嫌だった？」
私の言葉にお茶子は首をブンブンと横に振る。
“むしろ嬉しいよ！”と言った彼女の顔が目に焼き付いた。
朝食は慣れた和食にした。
制服姿だったのは私だけで、みんなはジャージだった。
「Aさん、朝ごはんはいつもしっかり準備してから頂くタイプなんですね」
「…百か。そうだよ。朝ごはんをジャージで食べると、なんか閉まらなくて」
私がまた下の名前で呼び捨てにする理由を百に話せば嬉しそうに笑ってくれた。
服装に関しては、ジャージでお出かけする日とかなら話は別なんだけどね。
洗濯物の量増えるから。
「じゃあ行こうか、学校に！」
友達と行くというのは新鮮だった。
百や響香と話しながら学校への道を進んで、そんな風に普通の学校生活に戻れる今がとても嬉しかったんだ。
「…昨日も言ったが、雄英高校1年A組の当面の目標は仮免取得だ。ヒーロー免許は人命に関わる大事な資格だ。当然、資格取得の試験も難しい。仮免といえど、取得率は5割を切る」
「仮免でそんなに…」
峰田くんの言葉に私も心の中で同意した。
この資格は厳しい。それをこの人はきっと全員取れとか言うのだろうな。
「そこで一人最低でも二つ…必殺技を作ってもらう！！」
「必殺技？！」
またみんなが騒ぎ出したけど、私はそれに頭を回せなかった。
必殺技って…無個性同然な私には出来ないよ。
どうしようかと必死に頭を働かせる。
「何考えてんだ？」
「…あぁ、無個性同然だから、どうしようかなーとね」
私の戦闘は敵の数が多いほど有利な運びになっている。
だから1vs1は苦手な部類。しかも相手が長距離型の個性を持っているとなれば尚更。
「…Aなら、なんとかなるだろ」
「そうかな〜」
一度も考えてこなかった。必殺技なんて。
私はどちらかと言えば後方支援が向いている個性だ。
だからといって、黙ってる訳には行かないけど。
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