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2話








「北北西!北北西!!!北北西ノ街二下弦トオモワレルオニガ複数ジュツゲン!!霞柱時透無一郎が交戦中!!!援護二ムカエ!!!」








「むい、、、」








霞柱時透無一郎との久しぶりの任務にAは密かに胸を踊らせていた。


無一郎とは恋仲に近い間柄であるが、そこにハッキリとした名前はなく、曖昧なものだった。


お互いが好意を持っていることは明らかなのだが、特にそれを伝えたわけではなく、お互いそれを感じ取っている。









「A。」






「むい、私は雑魚を倒すわ。下弦をお願いしてよろしいかしら。」





Aが急いで向かうと、既に横たわった下弦の鬼の姿が転がっており、残りの残党Aが受け持つ。








「なんだねぇちゃん。見たこともねぇべっぴんさんじゃあねぇか。」



下品に笑いながら「女の臓物は男のものより柔らかくてうめぇんだよなぁ」とヨダレを垂らす鬼たち。









「時の呼吸、弐の型、玉響(たまゆら)









瞬きをする間もなく切り落とされた全ての鬼の頸。









Aが刀を抜いた瞬間に全ての鬼の頸が切り落としたのだ。





しかし、これには語弊がある。
「抜いた瞬間」とは客観的な立場からのもので、実際Aは刀を鞘から抜き一人一人全ての鬼に近寄り、頸を切り落としたのだ。



それをこの数えられぬ速さで行うことは、柱である者でもできぬものである。




つまり、Aは刀を抜いた瞬間に時を止めたのだ。







それが、時柱 時津神 Aの呼吸。




止めるだけでなく、遅めたり早めたり、過去に戻したりと、時を操ることに近い。







しかし、時の呼吸を使えるのはAのみであり、強いだけあってそれ相応の代価が彼女に襲う。



その負担が視力、体力、色素、など様々なものなのだが、Aはそれらを生まれた時から所持していなかったので、払えるものがないのだ。



そのためにこの呼吸を使えるのは時柱の時津神Aだけである。









「A、終わった?」









「えぇ、終わったわ。」





Aは自分の切った鬼になんの感情も持ち合わせていなかった。


憎しみや怒り、哀れさや慈悲の心。





Aに鬼をどうしたいという目的はない。
ただ、御館様に自身を救われ言われた通りに動いているだけなのだ。









「帰ろう」





無一郎の言葉にAは小さく頷き、2人で肩を寄せながら、歩いていった。

た→←て



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ひな - すごく綺麗な文章ですね、惚れ惚れしちゃいます!あと、9ページの、蜜璃ちゃんの「時透さんっ!!他の柱を呼んだわ!!!〜以下略」とありますが、原作では「時透さん」ではなく、「時透くん」と呼んでいた気がします!間違っていたらすいません! (2021年7月19日 19時) (レス) id: 31fda6eacc (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - にゃさん» お褒め頂きありがとうございます。綺麗な読みやすい文章を心がけているので、そう仰って頂けてとても嬉しいです。がんばります! (2019年10月12日 20時) (レス) id: 96b0a1e7e5 (このIDを非表示/違反報告)
にゃ(プロフ) - 少し切なくてとても綺麗な文章だと思います!更新楽しみにしています! (2019年10月12日 19時) (レス) id: 2a13604db8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Spica | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月12日 12時

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