Spectrum (ページ8)

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さらさらと学会誌を流し読みする暁の隣で、出された珈琲を口にする直。

「そう言えば、昨日。国立四季戦闘専門学校の生徒から“弟(暁)は元気か”と問われた。相変わらず研究に没頭していると伝えておいたが……友人と連絡が取れないのも考え物だぞ？」
『あはは……。今度緋連にでも使い方教えてもらいます』

暁は国立四季研究専門学校の所属だが、白帝である為戦闘訓練も行うやや異例の存在だ。
よって、四季戦闘専門学校に赴くことも多々あり、友人も多かった。

戦闘専門学校の友人達が、暁と連絡が取れずに困っているという話は暁の耳にも届いていた。
最近の電子機器は扱いが難しく手を出せずにいたが、直の手を煩わせるようなら流石に申し訳がない。

「僕も、データの受け渡しがアナログばかりでは不自由な事もある。一刻も早く、君に教えたいと思ってヤキモキすることだって」
『俺もです！次のマテリアル研究のデータだって、直兄さんからの呼び出しだと分かっていたらここに持ってきたのに―――』

―――あ。
　俺、今墓穴掘ったよな…

「では、今。持ってきてくれるかな？」
―――俊足の君なら、早いだろう？

有無を言わさない直の笑顔に、暁は『はい』と答える他ない。
珈琲カップを片手に笑顔のままドアを指差す直に、暁は『５分で戻ります』と部屋を出た。

(やはり―――パソコンと携帯端末は使えるようになっておく方が良さそうだ……)

週末街に探しに行こうと心に誓った、暁であった。

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直さん、お借りしました♪