Log190 ミノリside ページ43
私のトウヤに対する評価は「良くできた弟」であった。
もちろん姉の目から見れば子供っぽくてお調子者だし、後先を考えてないバカと云えば、バカである。
しかし、本質的な部分では信頼できる弟だ。
例え両足が不自由であろうと、この先後遺症がぶり返してくる可能性があろうと、トウヤはトウヤらしい道を歩くだろう。
そうであるならば、例え数時間差であろうと先に生まれた自分は、姉としての姉を全うしなければならない。
自分は、トウヤの保護者である。
トウヤが力を必要とするときその必要とする能力を備えていたい。
兄妹や姉弟、特に年齢の低い間のそんな関係の間には発生しづらい、ある種の敬意に似た感情が私達を仲の良い姉弟にしていたといえる。
〈エルダー・テイル〉を始めたのも、そんな理由だった。
検査の後などは消耗して外に出掛けられなくなるトウヤ。
そのトウヤが興味を示したのがオンラインRPGだった。
通り一遍の室内遊戯に飽きていた二人は、両親にねだり――勉強をおろそかにしないという約束付きで――ゲームを許可してもらった。
私と一緒に始めたゲーム。
トウヤが誰に気兼ねもせずに、好きなだけ走り回れる世界。
トウヤはとても喜んで楽しんでいたし、私も今まで経験したことがないような種類の遊びに興奮していた。
私達は〈エルダー・テイル〉が大好きだったのだ。
しかし、だからこそ、私は「どうにもならない」と云うことをよく知っている。
子供であるというのは時に残酷なことだ。
それは、自分の望みを、思いを、力尽くでかなえることが不可能だと云うことを意味する。
私は両親のことが好きだったけれど、言いたい我が儘を、云いたいだけには云えないで育った。
トウヤが居る以上、両親にはこれ以上負担はかけたくない。
私が年の割に大人びた話し方や考え方をするとするのなら、その原因はこの一事に尽きるだろう。
トウヤもまた、世間で言うところの足手まといなのだろう。
そして自分も子供である以上、トウヤに負けず劣らず足手まといなのだ。
能力が足りない、自分の面倒を見られない、足手まといである――それらは好きな人の顔を曇らせる特質だ。
★☆★
2019/10/28
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ハカタ(プロフ) - 更新待ってます!本当に楽しかったですw (2018年11月25日 22時) (レス) id: 05436ab3ab (このIDを非表示/違反報告)
里夜(プロフ) - sakuraさん» sakuraさん:ありがとうございます。頑張ります!! (2018年6月9日 12時) (レス) id: 197e7505f2 (このIDを非表示/違反報告)
sakura(プロフ) - 楽しく読ませていただきました これからも読ませていただきます 更新がんばってください (2018年6月8日 21時) (レス) id: f15ebf0ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆乳ココア | 作成日時:2018年3月6日 16時