孤独なサモナー[4]

Log151 ページ5

ギルドホールは隅々まで綺麗に掃き清められ、部屋によっては車座になって歓談が出来るように、背の低い籐の燭台や多くのクッションが用意されていた。

廊下にさえも臨時の藤椅子が並べられているほどだったのだ。

それらは決して高価なものではなく、むしろ〈三日月同盟(みかづきどうめい)〉に所属する生産職人達が、自分たちの作れる範囲内で出来るものを作り、持ち寄った成果であるらしかった。

セララちゃんを救出した私達が街に帰還すると、街外れまで迎えに来ていたマリ姉達は大喜びでギルドホールに迎え入れてくれた。

念話機能で毎日のように連絡を取っていたから、私達が帰り着くのは数日前から〈三日月同盟(みかづきどうめい)〉のメンバーにはすっかり判っていたのだ。

同じく念話での連絡によって班長から「本物の料理」の秘訣を聞かされた〈三日月同盟(みかづきどうめい)〉の〈料理人〉は、その数日の間に多くの食材を組み合わせて、パーティー用の料理を作り上げていた。

マリ姉の話によれば、伝えられたまったく新しい料理の仕方、すなわち〈料理人〉がアイテム作成メニューを使用せずに直接料理を作る方法に馴れるために、〈三日月同盟(みかづきどうめい)〉の〈料理人〉はそれこそ寝る間も惜しんで多くの料理を作りに作ったのだそうだ。

☆★☆
2018.03.08

Log152→←Log150

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す