孤独なサモナー

Log39 ページ40

私達は協議の末、トンネル突破を決意した。

もろもろの事情から考え、それがもっとも短時間で済み、安全面での条件と合致すると思われたからだ。

山麓に広がる森、岩肌に作られた巨大な工事現場の廃墟から坑道に侵入して5時間。

トンネルは思ったように土塊作りの粗雑なものではなく、コンクリートで作られたライトグレーの広い地下通路が、魔法の明かりの中に続いている。


地下下水処理施設の最も広い水流通路のように、定期的に細い連絡通路が左右に伸び、所々に何の目的に使われていたのか、無味乾燥な正方形の部屋が現われる。


設計者の意図も、使用者の痕跡も、長い長い間に風化し、全ては埃と瓦礫の下に封印されてしまったのだろう。


地下水の流れるひたすらに広いこの洞窟の現在の主は、鼠人間(ラットマン)達であった。


鼠人間(ラットマン)。
それはこの世界に多数生息する亜人間の中でもかなり下等な種族だ。

姿としては鼠の頭部を持った人間と、直立した鼠の中間くらいだろうか。

身長は中学生ぐらいだが、毛皮のせいで体型の判別は難しい。

全身湿ったような滑らかな毛に覆われ、簡単な道具を使いこなす。

★☆★
2018.01.30

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