孤独なサモナー[18] (ページ32)

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Log909 レイネシアside ページ32

よどみない流れのようなフルート。
甘く切ないヴァイオリンにとろけたような陶酔を乗せ、クラスティ様と私は舞う。

クラスティ「そんなにいやですか？」

レイネシア「そうではありませんが……。」

そんな祖父とコーウェン家の妥協した案が、私の大使就任というラインであった。

本来領主達の貴族文化において、淑女というのは象徴的存在である。

その容貌が政治利用される事はあれど、本人に政治的な才能や実務能力が期待される事はあり得ない。

だが、祖父に寄れば

セルジアット「お前はその保護の囲みを自分から進んで乗り越えた。」

訳だから、以降そのような気遣いは無用である、との事である。

そこで言い渡されたのが、アキバの街に設けられる交流用の大使館責任者の地位である。

今後私は、アキバに建てられた別邸と、マイハマの【灰姫城(キャッスルシンデレラ)】を往復しつつ暮らせ、と云う事らしい。

――借りを作ったのはお前なのだから、お前が側近くにいて、折に触れて頭を下げ続けるのが礼儀というものだろう？

祖父セルジアッド公は厳めしい顔でそう云ったが、その瞳は笑っていた。

あのような表情は珍しいが、きっと私に対して良い気味だ、と思っているのだろうと思う。

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2020/01/03