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Log906 レイネシアside ページ29
その同じ円舞曲を、おびただしい輝きに包まれて漂っているのは私とクラスティ様である。
私から見れば、クラスティ様は巨大な虎だ。
白虎ちゃんとはまた違ったやつですわ！！
目の前には巨大な壁のようなそびえるクラスティ様は、見かけのイメージを裏切る端正で華麗なステップでエスコートをしてくれている。
宮廷の評判では優しげな美青年と云う事に落ち着いたようだが(私はこれを侍女からの噂で仕入れたのだ)、あの戦場での姿を知っている私としてはそんな評判に騙されるなどと云う事はない。
虎です。
この人は妖怪虎人間なんですっ。
騎士にしてはスマートな方です。
……などというコメントもあるが、それは背丈があるために遠目に見れば比較的細く見える、と云う事に過ぎない。
こうして側近くで腰の後ろなどを支えられてみれば、腕の太さから胸板の厚さまで、まるで自分とは別の人間――というか生物に感じられて仕方がない。
クラスティ「どうしました？
姫。」
レイネシア「何でもありませんわ。
クラスティ様。」
周囲にいる貴族や冒険者達からは笑顔に見える表情を取り繕いながらも、私は不機嫌な声で囁き返す。
クラスティ様の声も潜められているし、管弦楽とざわめきで満たされたこの大広間において、私達の囁きは周囲に漏れる事はないだろう。
☆★☆
2020/01/03
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作者名：豆乳ココア | 作成日時：2019年12月9日 23時
