孤独なサモナー[17] (ページ10)

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Log838 ミノリside ページ10

ミノリ「〈四方拝(しほうはい)〉っ！！」

私はとっさに緊急用の【ダメージ遮断呪文】を投射する。

この呪文は緊急用というカテゴリを持つだけあり、ＭＰコストがほとんどかからない上に詠唱が早く、私の周囲の仲間全員に《禊(みそぎ)ぎの結界》とほぼ同強度の防御をもたらす呪文だ。

しかし、全てがそう都合が良く済むはずがない。

……これで、この手は使えなくなった。

私は血の気の失せた顔で唇を噛む。

緊急用呪文は、その名の通り急場しのぎなのだ。

代償として私のＨＰのほぼ半分を要求される上に、再使用規制時間は長く、あと24時間は、同じ手を使う事が出来ない。

セララ「止まって！
止まってぇっ！！」

セララさんが〈友なる柳(ウィロー・スピリット)〉を発動させて、付近の大きな倉庫の壁を張っていた蔓が、〈魔狂狼(ダイアウルフ)〉に絡みつく。

〈魔狂狼(ダイアウルフ)〉はいらだったように雄叫びを上げると、大地に爪を立てて、何とか拘束を抜け出ようともがき始めた。

セララさんがこの呪文を使うのは、もう3度目だ。

〈魔狂狼(ダイアウルフ)〉ほどの巨躯と力を持ってすれば、植物の戒めなど引きちぎる事も出来る。

ではこの制止が無駄かと云えば、そんな事はない。

セララさんがこの呪文で〈魔狂狼(ダイアウルフ)〉のうち少なくとも1体を食い止めていてくれるから、トウヤ達が他の敵に集中する事も出来るのだ。

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2019/12/24