Log865 レイネシアside ページ37
レイネシア「それはどうでも良い事だと思います、クラスティ様。」
話を逸らされた苛立ちを込めて、クラスティ様に向き直る私。
だいたいクラスティ様がこんな態度ばかりをとるから、私の方も宮廷風がよいのか、〈冒険者〉風の作法に合わせればよいのか困っているというのに。
レイネシア「だいたい――。」
私がもう一言いってやろうと踏み出しかけたとき、渓谷全体に遠吠えが響き渡った。
その声は東側の尾根より響き渡り、遠くからだとはっきり判るにもかかわらず、私の胸中に冷たい風を吹き込んだ。
レイネシア「いまのは……。」
クラスティ「〈
相当に巨大なものでしょうが。
ヒュージ種ですね。
白虎、姫の護衛をこのまま頼めるかい？」
白虎「グルグル。」
レイネシア「……〈
クラスティ「〈
あれは〈
これは、〈
レイネシア「近衛部隊……。」
私は我知らず、両手を胸の前で堅く握り合わせてしまう。
クラスティ様達の勇戦は昨晩見たし、その実力を買ってもいる。
しかし私自身は戦いの事など何一つ判らないし、それゆえ不安を感じてしまうのだ。
ましてやクラスティ様は、戦いの中に溶けて行ってしまいそうな危うさを感じる。
自重を求めようか、それとも励ませばいいのか逡巡している私の耳に、再び魔狼の猛々しい遠吠えが響く。
その声を聞いたクラスティ様は唇を歪めると、酷薄な笑みを浮かべながら呟いた。
クラスティ「巣の掃除は後回しにして、とりあえずはザントリーフのゴミどもを血祭りに上げるとしようじゃないですか。」
☆★☆
2019/12/29
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作者名：豆乳ココア | 作成日時：2019年12月8日 23時
