Log847 ミノリside ページ19
ルディさんがその身を犠牲にしているからこそ、トウヤは死の運命から逃れる事が出来る。
攻撃ダメージの圧力が減って、状況が好転の兆しを見せている。
五十鈴「だって、ルディがっ!」
ルンデルハウス「五十鈴っ!
僕たちは、攻撃職だっ!!」
ルディさんはそのまま自らの腕をくれてやるとばかりに、さらに狼の口に押し込む。
狼は犬族だ。
その身体の構造上、口の中に深くくわえ込まれたものを一度離さない限り、別の対象に攻撃を加える事は難しい。
五十鈴「だけどっ。」
ルンデルハウス「敵を倒せっ!!」
叫ぶルディさんは、それ以上の言葉が惜しいとばかりに詠唱を開始する。
もはや腕はズタボロになり、ただ肩から繋がれた肉塊のようにひきずられ。
それでもそれを〈
そのマグマ呪文は投射されるまえから、余りにも近距離なために〈
魔狼は苦痛に耐えかね、ルディさんを何とか引きはがそうとするが、ルディさんはまるで取り憑かれたかのようにしがみつき、決してダイアウルフを解放しようとはしない。
いや、すでにノコギリのように生えた牙の列に、ルディさんのまとうローブの繊維は絡まり、肘まである魔法の籠手の部品はくわえ込まれ、彼自身にも引き抜く事は難しいのだ。
ルンデルハウス「舐めるなっ。
ぼくはっ!!」
掠れた声が、暮れ始めた夕焼けの路上に響く。
ルンデルハウス「僕はルンデルハウス=コードっ!!
冒険者だっ!!」
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2019/12/25
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作者名:豆乳ココア | 作成日時:2019年12月8日 23時